2010年3月21日日曜日

さようなら、歌舞伎座_御名残三月大歌舞伎

歌舞伎座に「御名残三月大歌舞伎」を見にいきました。4月の(おせち料理)公演は見ないということにしたので、これが虫六にとって最後の歌舞伎座です。

4月千秋楽まであと41日。寂しい。

第二部は、3階席の東で拝見。
このなんだか暖色系の劇場の雰囲気、やっぱりいいですねぃ。

第二部の演目は、

一、『菅原伝授手習鑑』
  筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)
   菅丞相  仁左衛門
   園生の前 魁春
   戸浪   芝雀
   左中弁希世  東蔵
   武部源蔵 梅玉    ほか

二、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
  浜松屋見世先の場
  稲瀬川勢揃いの場

   弁天小僧菊之助  菊五郎
   南郷力丸  吉右衛門
   忠信利平  左團次
   伜宗之助  菊之助
   鳶頭清次  團蔵
   浜松屋幸兵衛 東蔵
   赤星十三郎  梅玉
   日本駄右衛門 幸四郎

虫六はもちろん仁左衛門丈の菅丞相を最後の歌舞伎座の思い出にしたいと出かけているわけなんですが、このお芝居(=「菅原伝授手習鑑」の菅丞相のくだり)は「静」の演技が肝なので全体にじわ〜っと鑑賞する感じですね。3階席まで松島屋の放つ気品高いオーラが放射されてくるようでした。東蔵丈の希世役の小者感といいますか、道化役がなかなか良かったので、思わず生写真を買ってしまいました。

ところが、オールスターキャストの「弁天娘女男白浪」になったら会場の雰囲気が一変、活気だちました。見せ場がいっぱいあるし、弁天小僧は菊五郎だし、大向こうさんも大忙し。
「音羽屋!」
「待ってました!」
「七代目!」
「播磨屋!」
「高麗屋!」と声のかかること、かかること。
たいそう盛り上がりました。確かにこういう舞台と座席の一体感が歌舞伎の醍醐味ですね。
でも、弁天小僧のお腹周りはもちっと細い方がいいなぁ〜(あ、ごめんなさいヽ(;´Д`ヽ)!)。とはいえ台詞回しの気持ちよさには代え難いですけどね( ^ω^ )。虫六、去年の早野勘平で菊五郎丈の良さに目鱗開眼以来、評価高いです。今頃気がつきましたすみません。

第三部も見るので2部終了後はロビーでぶらぶら…「染模様恩愛御書」の巨大ポスター発見!うしし、明日見ます!!

名優達の遺影コーナー。ここ好きです。
あと1枚だったんですよね、開いてるスペース。
新しい歌舞伎座にも飾られるのでしょうか?有料の資料室とかにならないといいなぁ。

夜の部のお客さんが赤い絨毯のロビーに入ってきました。

2階のロビーでは、今月の13代目片岡仁左衛門17回忌、14代目守田勘弥37回忌の追善公演にあわせて「ゆかり展」ということで、写真や衣装の展示をしていました。勘弥丈と玉三郎丈の若い時の共演の写真におもわず釘付けでした。それにしても、13代目仁左衛門丈と当代の仁左衛門は、なんだかとっても似ているんですね…親子だから当然かもしれないけれど、いやはや。

歌舞伎座、登録有形文化財でした。文化庁の登録有形文化財って取り壊しできるものだったのか。保存たって、なんの効力もないんですね。

おっとと、第三部は奮発して1階席です。
真ん中よりちょっと花道寄りの、全体が見渡せるいいお席でした。

第三部の演目は、
一、『菅原伝授手習鑑』
   道明寺(どうみょうじ)

  菅丞相  仁左衛門
  覚寿   玉三郎
  奴宅内  錦之助
  苅屋姫  孝太郎
  贋迎い弥藤次  市蔵
  宿禰太郎  彌十郎
  土師兵衛  歌六
  立田の前  秀太郎
  判官代輝国  我當

二、『文珠菩薩花石橋』
  石橋(しゃっきょう)

  樵人実は獅子の精  富十郎
  童子実は文珠菩薩  鷹之資
  男某   松緑
  修験者  錦之助
  寂昭法師 幸四郎

くどいですけど今回のお目当ては、「仁左衛門丈の菅丞相」と「玉三郎丈の覚寿」です。
この共演を拝見して歌舞伎座とお別れ、私的にはキリをつけたしだいです。
水墨画のような深淵な世界でした。白髪あたまの玉三郎丈もなんだか目が慣れてきました。サイボーグ菅丞相も面白かった(といっていいのか…)。
考えてみれば盛り立った娘(苅屋姫)の見境ない行動で、政敵に揚げ足とられて冤罪にされ、流されてしまうって、やりきれないですよ(菅丞相の目線)。それが、養女に出した実の娘で、恩人である菅丞相の足を引っぱってしまうことになった…というのは、もっとやりきれない(覚寿の目線)ですね。みんなが痛い気持ちなんだけど、お互いを思いやって入るウチに、邪な奴らが混入してきて、あっさり人を殺してしまうという…。
『菅原伝授手習鑑』は、3組の親子の別れ(『道明寺』の苅屋姫と菅丞相、『賀の祝』の白太夫と桜丸、『寺子屋』の松王丸と小太郎)が描かれていると言われるのですが、覚寿も娘・立田の前に死なれてしまうんですよ、全体の中では大きなテーマじゃないのかも知れないけれども、この親子の別れも相当切ないです。
この演目も、いちど全篇通しで見たいものです。

「石橋」の方は、富十郎と鷹之資親子の舞踊共演!富十郎丈の息子への想いがすんごく伝わってきて、息を吞みました。4年後の新しい歌舞伎座でも親子公演を絶対にやって欲しいし、あの会場にいる皆さんがそれを期待していると思いました。
それにしても鷹之資君は体格が良く、木目込み人形のようでかわいい( ´艸`)。

歌舞伎座名物、白玉鯛焼きも最後。堪能しました。はぐはぐ。

さよなら、歌舞伎座(いえ、世間的にはまだ1ヶ月ありますが)。
たのしいたのしい記憶をたくさんありがとうございました。

夜の部を見る日にはいつもお世話になっている「お宿・流山」に、歌舞伎座売店の鱒寿司(いつもは鯖寿司でしたが、この日は1部で売り切れていたので…でも身の厚い鱒で激旨でした)と、銀座松屋のデパ地下で仕入れてあった「なだ万」の炊き合わせおかずセットをお土産に持参して、飲みながら、最後の歌舞伎座詣での締めとしました。

思い残すことなく堪能したので、だいぶ満足しました。


2 件のコメント:

  1. ガスパママ2010年3月28日 11:31

    どーも。羨ましくて歯ぎしりしたガスパママです。
    昨日、鱒寿司ならぬ、鰯寿司食べました。
    Gマートにて購入したものです。これがなかなか、かなりうまかったです。
    今、イヤホンガイドの観翁さんの御本を読んでるんだけど、演目と演目の間のお休み時間にもなんかしゃべってたらしい、と初めて知りました。(って、イヤホンガイド自体この間初めて使ったんだけど)みんながお弁当やらお土産やらをみている間、通好みなレベルの高いお話をしているらしい。へー色々見どころ聞きどころがあるんだねぇ。
    4月の興行は一般発売翌日完売でしたね。まぁ行けないけど、見てたのよね、チケットウェブ…

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  2. >ガスパママさん
    鯖寿司は夜の部あたりに買いにいっても売れきれてしまうんですよね。今回3部制なので、2部から入ったらもう完売でしたの。鱒寿司も最後の1本でした。でも旨かった!っす。
    4月は私も戦線離脱です。4月忙しいし、休みの日に焦点絞って買えるような情勢でもなさそうだし、キャスティングもおせち料理だし(それはそれで面白いのでしょうが)、ってことで無理矢理納得。
    実は5月の連休に上京する予定があるので、新橋の花形歌舞伎に焦点をずらしました。まだとれるかどうかわかんないけどね。
    今年は、できれば康楽館に行きたいですね…。

    イヤホンガイドは、どうもイヤホンが苦手で結局外してしまうので、あんまり利用しませんが、休憩の時とか、特別インタビューみたいの流しているんですよね。

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