2011年2月2日水曜日

1月に読んだ本

1月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1006ページ

日本の兄弟 新装版日本の兄弟 新装版
ラボラトリーですね、短編集は。松本大洋的世界の培養器。
読了日:01月24日 著者:松本 大洋



阿房列車 3号 (IKKI COMIX)阿房列車 3号 (IKKI COMIX)
今度の阿房列車は九州や四国などの西国方面が舞台。列車は快調に悠々と走るんですが、雨や風邪が百間先生の旅を阻みます。目的がなくてもコンディションが良くないとやっぱり楽しめないのね。それにしても百間先生とヒマラヤ山系君のコンビは狂言芝居を観るようで滑稽です。殿様=先生、太郎冠者=山系君。それから、出かける度に交趾君から借りることにしているお気に入りの鞄をこうたびたび使うなら自分のものと思ってしまおうという無茶苦茶さが好きです。
読了日:01月23日 著者:内田 百けん,一條 裕子

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
どうにもぎこちなくて奇妙な関係だけど、こんな形の友情も羨ましい。取り返せない過ちへの後ろめたさと真っ当さが混在する多田、正体不明で規格外だけど、なんともかわいさのある行天。魅力的で絶妙なキャラクターの造形ですね。ちぎれた小指の傷のように、元通りとは行かなくても人の幸せも修復することはできる…、シンプルだけど力強いテーマです。
読了日:01月17日 著者:三浦 しをん

三味線音楽長唄読本―七代目勝三郎よもやま話三味線音楽長唄読本―七代目勝三郎よもやま話
昨年6月に逝去された七代目杵屋勝三郎の絶筆となった著書。長唄会最大流派の家元を昭和15年に13才で後継、戦後さまざまな日本の伝統文化に存続の危機が訪れた時代に、長唄文化を守らなければならない重責の中で、芸の伝承のみならず不透明な家元制度の改革に着手、いち早く組織を財団法人化した家元でした。邦楽の未来を構想していた人物だったのですね。杵勝を支えた歴代の家元や名人も紹介されてますが、芸能史研究者の資料とだけなるにはもったいない本です。芸談や演奏法にも触れて欲しかったけど、そこは口伝なんですね。長唄がんばれ!
読了日:01月10日 著者:杵屋 勝三郎,馬場 和夫

倍音 音・ことば・身体の文化誌倍音 音・ことば・身体の文化誌
中村明一氏の仕事場はまるでジェット機のコックピットのようだと別の本で読んだことがある。類い希な超倍音楽器・尺八を周波数解析機で可視的に確認しながら変幻自在に音の束を操りつつ、たどり着いた音世界の法則、そして文化論。「倍音」から音世界を読み解かれると、なぜ「邦楽器」が魅力的なのかが良い角度で説明された気がした。CDでは伝わらなくても、実際に聞いたり自分で演奏したりしないと感知できない音響があったのだ?!「非整数次倍音」をコントロールできる邦楽器や伝統芸の声の技術は凄いし、聞き分けている日本人も凄いと再実感。
読了日:01月03日 著者:中村 明一
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