2012年9月11日火曜日

大阪松竹座9月歌舞伎6代目中村勘九郎襲名公演夜の部_カーン九郎狐跳ね躍る

そして夜の部!
松竹座はちょっと変わったアプローチで、いきなりエスカレーターで2階のロビーにあがり、さらに3階に上って会場です。
 2階には、売店の他、襲名祝いの飾り絵馬が沢山飾ってありました。(これって、もしかして平成中村座でみたやつかな?)

「ぴったんこ・かんかん」でもお馴染みのよーかんちゃんからの祝い絵馬みっけ。


○大阪松竹座
中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露 九月大歌舞伎
平成24年9月1日(土)~25日(火) *虫六観劇日は7日

【夜の部】

一、女暫(おんなしばらく)
   巴御前       玉三郎
   舞台番       勘太郎改め勘九郎
   轟坊震斎      翫 雀
   女鯰若菜      七之助
   局唐糸       吉 弥
   手塚太郎      壱太郎
   紅梅姫       新 悟
   家老根井主膳    薪 車
   江田源三      亀 蔵
   猪俣平六      市 蔵
   木曽太郎      進之介
   成田五郎      彌十郎
   蒲冠者範頼     橋之助
   清水冠者義高    秀太郎

二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)
   勘太郎改め勘九郎
        玉三郎
        我 當
        秀太郎
        幹部俳優出演
 
三、勘九郎六変化 雨乞狐(あまごいぎつね)
   野狐/雨乞巫女/座頭
   小野道風/狐の嫁/提灯  勘太郎改め勘九郎

四、雁のたより(かりのたより)
   髪結三二五郎七    翫 雀
   愛妾司        壱太郎
   若旦那万屋金之助   亀 鶴
   若殿前野左司馬    薪 車
   乳母お光       吉 弥
   家老高木治郎太夫   彌十郎
   花車お玉       扇 雀


この度の上阪の目的は、勘九郎の「雨乞狐」をこの目で見る、であります。

6代目勘九郎(勘太郎)は「雨乞狐」をこれまで2回演じていて、1回目は平成17年8月の歌舞伎座納涼歌舞伎公演。この公演を幸運にも虫六は見ているのですが、それまで「勘九郎の息子」という認識の中村勘太郎を踊りの上手い役者と認識させ注目させるきっかけとなった作品なのでした。ところが2回目になる翌年6月の博多座公演の途中で、まさかの靱帯切断という事故が起きて、勘太郎には苦しい治療・リハビリという挫折が襲ったのです。その怪我を力強く乗り越え、以前よりも踊りが上手くなったと評されるほどに努力して今回の勘九郎襲名に至るまで大きく成長したのです。
(おねいさんは嬉しいよ…(´;ω;`)ウウ・・・) 

もちろんこの数年中村屋の芝居については、虫六も遠方のファンなりにがんばって見てきて、勘太郎・七之助の成長も追いかけてきたつもりだったのですが、6月のコクーン歌舞伎「天日坊」を見て本当にガツンときて、かつ、父・勘三郎のいない襲名公演であの因縁の「雨乞狐」を踊ると知った時に、(これを見に行かずして何を見ろと?)と黒い心が入道雲のように膨らみまして、今回の上阪に及んだのでした。
(やっぱり生き急いでいるのか〜、俺?)

そんなわけで、「雨乞狐」!よかった!見終わるのがもったいないくらい。最初に見たときは、早変わりもあったし、とにかく踊りの切れ!切れ!にぶっ飛んだものですが、今回拝見して、もちろん動きの機敏さは素晴らしいけど、味わいのあるおもしろい演目なんだと再認識しました。そして、自分がとにかく「狐」好きであることを自覚しました。
猿之助や菊之助の「狐忠信」でも血が騒ぎますし、やっぱり狐が出てくるとテンションがあがってしまいます。うれしさいっぱいに跳ねあがる狐は本当に可愛いし、こちらにも活力が伝わってきます。「狐」を造形してくれた歌舞伎の神様ありがとう。
たまには「小鍛治」なんかもやって欲しいな。

ところで、今回の筋書きをみて気がつきましたが、平成18年の博多座では事故で休演せざるを得なかった勘太郎の代役は七之助だったのですね。
七之助の「雨乞狐」!見たいです。来年の新歌舞伎座開場でどすか?日替わり公演なんかされたら、2回行ってしまうかも。う〜ん、松竹さんの思うつぼじゃないですかー。

玉三郎の「女暫」は文句なし!これは安心して見ることが出来ました。やっぱり華麗な美しい玉三郎にかなうものなし。なんていうか、女丈夫なのに眩しげな表情がとにかく可愛いのです。
個人的に近代モノよりこういう歌舞伎臭い演目の方が楽しいので、つい顔がほころぶのを感じつつ堪能しました。奇妙な装束の役者たちもいちいち面白いし、ばかばかしいセリフ劇も好き。初っぱなから大薩摩の演奏も聴かせます。
最後は幕がおりて花道の引っ込みのコミカルなやりとりも、舞台番の勘九郎を相手に(アドリブか?)と思う調子のいいかけあい。お腹を抱えて笑ってしまいました。でも、本当はこれ勘三郎とやるところだったのかな?とか考えて、ちょっとせつなくもなりました。

口上は、珍しく玉三郎が音頭をとりました(はじめてらしい)。勘三郎がかけてしまったところ、親代わりにがんばっているのだなということも感じましたけれど、つまり人間国宝にもなってこの中で一番格上の役者になってしまったんだということを実感。なんだか、とても緊張しているようにみえました。猿之助のときもそうでしたが、秀太郎の口上はいいんですよね、ふくよかで愛情があって話が上手い。そして、ここでも七之助がきりっとして良かった。(虫六的に、相当株を上げてます)

「雁のたより」ははじめて見ましたが、上方の演目のようで楽しい作品でした。翫雀・壱太郎親子に扇雀も加わって、大阪のお客さん大喜びでした。

全体に口上もあるし、夜の部の方が盛り上がっている感じでした(チケットも夜の部の方が売れているみたい)。でも、お三輪、本当にいいので昼の部も見て欲しいなぁ。


ところで、はじめて入る劇場なので、お弁当食べられるのか?とか心配でしたが、昼の部の後で辺りをぶらぶらしていたら、劇場わきの牛肉の老舗「はり重」の店頭でお弁当の注文を取っていました。で、聞いてみたら、「幕間にいちど劇場を出て、みなさんここまで取りに来るんです」と!(ええっ、劇場再入場ですか??)でびっくりしまして、予約してみました。
幕の内弁当もありましたが、あまり食欲がなかったので、「ビーフカツレツサンド」をオーダー。


口上のあと、ソッコーで「はり重」さんまで走って受け取りに。どきどき。
1階に降りたら、劇場地下の様々なレストランさんが予約のお弁当を沢山重ねて受け渡しをしていました。
「はり重」さんでもできたてのお弁当を準備して待っていてくれました。レストランを予約して食べる人もいるようでした。
ね、会場のそとですよ〜。

ビーフカツレツサンドはたった3切れで、りっぱなお弁当が買えるほどのお値段でしたが、厚くてふんわり柔らかいお肉にパリッとした衣のカツレツが挟んであり、「さすが牛肉専門店」とうなる美味しさでした。またひとつ美味しいものを知ってしまった。

やっぱりなにかが違いました、上方は。
面白いね〜。

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