2013年5月26日日曜日

明治座五月花形公演

5月19日の朝、虫六は浅草の地に立っておりました。特に予定していたわけでは無く、荷物をホテルに送ってしまったので、身軽になり、思い立って浅草寺へ。

 そしたら、なに?三社祭の日でしたのね…。すみません、田舎もので情報不足でした。S市の青葉祭りを逃れたつもりが、もっと大きなお祭のるつぼへ…。とはいえ、もう本社御輿各町渡御などのメインイベントは終わっていたので、熱気というより余熱?が残っている感じでしたが、祭り半纏の男衆やお姐さんたちが繰り出しており、ちょっとわくわく。
せっかくのチャンスを丸逃しのタイミングでありました。

 浅草寺もご開帳でこれは良かった。ここは、虫六子の受験のことなどしっかりお願いしておきました。何もできない親の神頼みっていうことで。

 浅草神社の能舞台。今日の午後、奉納舞があるのか…後ろ髪が引かれるのう。

 あ、御神輿が出てる!

お囃子の山車ですね。
…余熱…。
ま、しょうがない。本来の目的に戻ろう。
今日の黒い目的は、ここ!日本橋の「明治座」であります。

こけら落としで盛り上がる新装歌舞伎座五月公演を尻目に(正直「吉田屋」には未練がありましたが)、市川染五郎、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助!という若手ばかりがご出演の「明治座五月花形公演」。これだ!



明治座 五月花形歌舞伎
平成25年5月3日(金・祝)~27日(月)

【昼の部】
一、源平布引滝 実盛物語(さねもりものがたり)

 斎藤別当実盛 中村勘九郎
 小 万    中村七之助
 百姓九郎助  松本錦吾
 女房小よし  上村吉弥
 瀬尾十郎兼氏 片岡亀蔵
 御台葵御前  市川高麗蔵

二、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
  序 幕 木更津海岸見染の場
  二幕目 赤間別荘の場
  三幕目 玄冶店妾宅の場
 
 与三郎    市川染五郎
 お富     中村七之助
 海松杭の松五郎 坂東薪車
 赤間源左衛門 片岡亀蔵
 鳶頭金五郎  中村勘九郎
 蝙蝠安    中村亀鶴
 和泉屋多左衛門  片岡愛之助

(うしし、夜の部は花道の近くであります!)

【夜の部】
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)

 徳川慶喜   市川染五郎
 山岡鉄太郎  中村勘九郎
 間宮金八郎  中村亀 鶴
 土肥庄次郎  大谷廣太郎
 吉崎角之助  坂東薪車
 天野八郎   市川男女蔵
 高橋伊勢守  片岡愛之助

二、藤娘(ふじむすめ)

 藤の精    中村七之助

三、湧昇水鯉滝 鯉つかみ(こいつかみ)
 片岡愛之助宙乗りならびに本水にて立廻り相勤め申し候 
 
滝窓志賀之助実は鯉の精/滝窓志賀之助実は清若丸 片岡愛之助
釣家息女小桜姫   中村壱太郎
家老篠村次郎公光  坂東薪車
篠村妻呉竹     上村吉弥

「実盛物語」は、真面目にみていると膝かっくんの空想譚。ありえねーってヤツですね。
小万(七之助)が死んだ役で出て来て、舞台上ずっと死んでいるのが大変そうでした(^-^;勘九郎丈の実盛役は悪くないのですが、“たぬき度”が足りないのが残念ですね。父勘三郎ならもちっと色っぽくやっただろうと思ってしまったし、おじいさんの17代目だったらきっともっともっとチャーミングにやるんだろうなーと、見た事もないけど想像してしまいました。真面目な性格が出ちゃいますね。

「与話情浮名横櫛」は、染五郎・七之助です。これ、現在の歌舞伎界で孝夫・玉三郎に匹敵の組み合わせでないですか?(ほかに思いつかないんですけど_この組み合わせで「桜姫東文章」をお願いします!)染五郎丈は、4月の歌舞伎座の時は、お祝儀舞しか拝見してませんでしたので大怪我の後どうなったかが気になるところでしたが、完全に復調した感じで安心しました。やはり江戸の「いなせ」を表現できる数少ない役者なので、この時期の染五郎の与三郎を見せていただけたことは幸甚ですね。同時代人としては。また、七助丈のお富なのですが、何度か悪婆役を経験してきてこのような難役もいける役者になってホント嬉しいっす(←姉のような気持ち。正直いってF助伯父よりも良いです)。ただの蓮っ葉な女と言うイメージをうまく回避して、侠客に囲われる元芸者という粋筋の色気と、実は純愛を貫いている可憐さが同居する言い難い魅力を表現できていたと思います。
蝙蝠安の亀鶴丈がけっこう頑張っていました。

夜の部、「将軍江戸を去る」は以前に染五郎丈の山岡役で見た事があったのですが、あの時は誰が慶喜だったっけ?と思い出そうとしたけど出てこなくて、筋書きの公演記録でチェックしたら、K右衛門丈でした…。……。
今回は勘九郎丈が山岡役、こういうのはニンっていうんですか?はまった感じでした。でも、実盛をやれる役者になってください。染五郎丈はNHKの大河では孝明天皇だったりするじゃないですか、なんだか役者って不思議だなー。

「藤娘」!今回の眼目はこれです。
もう、贔屓目で申しわけないけど、あ〜(見終わっちゃうのが)もったいない!!という感じであっという間に終わってしまいました il||li _| ̄|○ il||li 最近の七之助の舞台は危なっかしさがなくなってますね。ん年前にみた赤坂歌舞伎の「鷺娘」からずいぶん成長していると思うんですが、目の越えた人たちはどうみるんでしょうか。藤の花が天井からとずら〜っと垂れ下がる華やかな舞台の中央でなんとも言えない可憐な存在感でした。(8月の「春興鏡獅子」にも期待が掛かりますが、見にいけるのかなーオレ)
地方は、芳村伊十蔵(唄)、杵屋五七郎(三味線)ほか四挺四枚、お囃子は田中傳次郎社中でした。演奏も張りがあって良かったです。花形公演にあってました。

で、意外に面白かった「鯉つかみ」!
お小姓姿が似合う愛之助であります。
そして、この外題は発見でありました。話も面白いし、宙づりや本水をつかった立ち回りもあり、けれん味たっぷり。愛之助丈が兵庫県豊岡市の永楽館で一度上演して好評だった演目のようで、さすがに重要文化財では本水が使えないと思ったら市長のご英断で水槽使った演出ができたという曰くつき。今回は遠慮なく本水使ってました。水の中で鯉と格闘するわけですが、染之助染太郎じゃないけど「いつもより沢山飛沫をあげてま〜す」っていうようなサービス満点の舞台。前方の客席の方々、ビニール持たされてきゃっきゃいってましたな。もりあがる〜。
虫六は、なんだかコクーン歌舞伎の「法界坊」で泥水被った時のことがいきなり思い出されて、なんだかまた勘三郎丈を思い出してしまいましたが…(引きずりますねぇ)
それにしても、水を含んだ衣装で、水を含んだ鯉の作り物を持ち上げ振り回し、大げさに水しぶきを立てる演技…、並の体力じゃできません!!!鯉をやっつけた愛之助丈に、(お疲れさま〜)の満場の拍手。(苦笑)
最後は六方を踏んで花道を引っ込みますが、ここで手拍子…あれれ?なんだか違うんでね?

なにはともあれ、面白いのでこの外題は愛之助丈の十八番にしてください。

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