2014年12月29日月曜日

プリンター2題

クリスマスが近づいたある日、虫六家に2台のプリンターが届きました。

ふつう要らないでしょ、同じプリンター2つは…。馬が食うわけでもあるまいし(馬はいないけど)。

これには複雑な顛末が。
夏頃から調子を崩していた我が家のインクジェットプリンターが本格的に機能不全となりまして、季節到来で(そうです、年賀状の季節です)さすがに買い換えか?!ってことで、A社さんのマーケットプレイス出店舗K社さんにポチッたのは12月の8日…商品確保のメールがきて、やれやれと思っていたら、待てど暮らせど配達がありません。
どうなってんの?とメールを出したら、10日近くたって在庫切れのお詫びメールが…
「商品の手配が物理的に不可能となってしまったため、一方的な形で恐縮ではございますが、本ご注文はキャンセルということで何卒よろしくお願い申し上げます。」
…って、どひゃー、まじかよ。

(どうなる、虫六家の年賀状?!)

果たしてどっかに在庫があるのでしょうか??と焦ってA社さんの別出店舗R社さんに在庫を見つけて発注!200円くらい高かったけど、もともと値の張る機種ではないので、ま、いいか。

ちなみに、ゲットしたプリンターは
  BROTHER A4インクジェット複合機 PRIVIO DCP-J552N-ECO

これまでプリンターはEPSON派でしたが、むやみにインク代がかかり、そしてそこいらから故障していくので、今回はコスパ重視のセレクトです。インクは4Cですが、黒は顔料で他の色インクがなくなっても単色印刷で起動してくれ、価格も1万円以下。家庭用インクジェットプリンターに写真再現の精度は求めないので、これで十分と決めました。
(中村屋の兄弟がコマーシャルしているからという分けではないですぞ!)

ところがR社さんの「発送しました」というお知らせメールにつづいて、K社さんからも「発送しました」というお知らせが届き、え、(@Д@;どうなっているの?という事態に。
キャンセルしてきたはずのK社に問い合わせするも梨の礫。で、翌日には、ハイこのとおりプリンターが2台届いてしまいました。しかも、K社分は京都の電気屋さんから「依頼分」として転送されてきたのでした。返品するのにどこに店舗があるのか?と調べたけど、このお店ただの事務所なのか、社名も販売業者名として登録されているのは「なんたら研究所」って…。
どおですか?評価も悪くなかったので…油断しました||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||

で、すったもんだでK社さんからは返事来ないままで、A社さんのマーケットプレイス保証を訴えたり(*`ε´*)ノ クレジットにはしっかり2台分請求がきたり( ̄Д ̄;; 年末休みに入った頃にK社から連絡がきて集荷をまわされ返品したりでε-( ̄ヘ ̄)┌ …なんだか、まだ現在進行形のまま年越しの様相です┐(´(エ)`)┌ いやはや…。

ネット通販は商品横流し系の実態が見えないので、要注意ですね。勉強になりました。

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そして、落ち着いた分の1台をさっそくセットアップ!
機材チェックやドライバインストールしたり…ところが、これが無線LANでパソコンに繋ぐのに一苦労…。哀しいかなECOタイプをチョイスしたので、LANケーブルやUSBケーブルは付属していないため、ここはなにがなんでもエアで繋がらなくてはなりません。

うまくいかない原因は、機種についてきたセットアップ用のCDに入っていたドライバソフトが、宅のパソコンのOSバージョンをまだフォローしていないため、ネットでダウンロードしなくてはならず、そのソフトについてマニュアルがないこと。古いバージョンならインストールの途中で繋ぐ方法を「無線LAN」と選択できるのに、新しいソフトはそのステップがない。ネットであれこれ調べてみるけど、どれもWindowsのOSでも説明ばかり…、MacユーザーってBROTHERは使わないのかなー?とにかく上手く行かないのですよ〜。

結局、虫六パソコンと家人Tパソコンとルーターとプリンターの、IPアドレスだのサブネットマスクだの、ファームウェアのバージョンアップだの、ドライバの再インストールだの、なんだりかんだりやって、夜をは更け、翌日再トライで、1日半かかって無事に無線LANで繋がりました!

今回は自力だぞ!エライ、虫六!(と、自分で自分を褒めてやりたい)
はぁー、久しぶりでC言語能をつかったなー。

そんなわけで、やっと年賀状作成の下準備ができた虫六家でした。
関係者のみなさま、今年も元旦には届きませーん。あしからず。

2014年12月25日木曜日

虫六子19才の誕生日に、「大人は判ってくれない」を観る親

陛下のお誕生日は、虫六子の誕生日でもありました。
そんな日でも、YB校の授業はいつもどおりで虫六子は出かけていきました。

で、親は何をしていたかというと、映画を観に…。(すまんのう)
ちょうど、桜井薬局セントラルホールで「フランソワ・トリュフォー没後30年」ということで特集上映をやってましたの。
トリュフォー監督の映画を夢中で見てたのって、それこそ虫六子くらいの年代のときだったような…(遠い目)たぶん、思い起こすと監督が亡くなった直後の追悼特集上映の頃だったんだよね。
で、今週は「大人は判ってくれない」(1959年)と「突然炎のごとく」(1961年)をやっていましたので、2本立て(久しぶり!)で見て来ました。

けっこうストーリーとか忘れていまして、こんな話だったのか…ということもあったし、妙にディテールを覚えていたり…アントワーヌ少年が遠心力で身体が宙に浮く回転マシンに乗るところとか、ジャケットの柄とか。
「突然炎のごとく」も、ジャンヌ・モロー以外の役者さんの印象は消えかかっていましたが、大人になってみると、相手役の二人(オスカー・ウェルナー、アンリ・セール)も色気のある良い役者でありました。そして、なんちゅうか奔放な虫を身中に飼っているかのごときジャンヌ・モロー、怖いです。そして、この歪な三角関係に普遍的なものが感じられもして、学生の自分には判らなかったかも…などと。

とりあえず他にも観たい映画も沢山あったし、このお正月はどうせどこにも行かずに過ごすことになるので、5枚綴りのチケット(5000円)を購入。

家人T「よく考えたら、5枚じゃ足りないんだよな…」
虫六「え、どんだけ観るつもりですか?年末にはやらなきゃならないことも沢山あるんですけど ( ̄◆ ̄;) 大掃除とか、年賀状とか…」
家人T「休みは休まなきゃダメでしょ!私は休みますよ!」
虫六(何にもやる気なしですかー ┐(´д`)┌ 早くもストレスー) 

とりあえず、夜は虫六子10代最後の誕生日をお祝いしました。
(おー、まだ20才まで1年もあるのかー、若いのう)


2014年12月23日火曜日

杵勝会チャリティー演奏会2014

去年は(虫六子受験のため)自粛して聞きに行けなかったのですが、恒例の杵勝会の年末チャリティー演奏会を姉弟子Nさん、Oさんと聞きに行きました。(つまり、今年は自粛しませんでした…人( ̄ω ̄;))


○杵勝会 第32回歳末チャリティー長唄演奏会 

  開催日:平成26年12月21日(日)
  日時:平成26年12月21日(日) 開演時間  14時30分
  場所:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階)
   【一般】5,000円/【学生】2,500円 全席自由

プログラムはこれ。


今年は勝幸恵先生と勝良先生の演奏が聴けず、とても残念だったのですが、そんな気持ちもぶっ飛ぶ大当たりの1曲は勝十郎さんの「千代の寿」でした!これ1曲で東京まで来た元を取ったと思える、一期一会の演奏でした。繊細だけどメリハリが利いていて美しい…どうやったらあのような音が。それにしてもどこまで上手いんだ、勝十郎。

また、今年、虫六的に大収穫だったのは、杵勝会の女流の方々の活躍です。やっぱり最大流派だけあって、女流チームにも実力・魅力の備わった演者がいて、層の厚さを実感しました。これまでは勝幸恵先生の演奏に圧倒されるばかりでしたが、要するに粒揃いなんですね。

女流…。開眼しました。

珍しく唄方にも興味をひかれました。とくに「勧進帳」の立てを勤められ(すげえ!)、「傾城」も唄われた勝眞規さんは個人的に大注目です。ご容姿は現代的な背高美人さんで宝塚の男役かと思えるようなハンサム度…、で、お声もいいし上手い!長唄やる人も変わったねー(って、私が言うのも何ですが…)。「傾城」で共演なすった勝あやめさんもお綺麗でした。髪型がややふっくり結わえていらっしゃたので、長唄というより小唄ぽい艶感がありました(オノナツメ「さらい屋五葉」のおたけさん似!)けど、唄は上手いのだ。リードなさった勝一佳さんがまたキリッとしてかっこいい。三味線も静子先生に、勝代さん、くに緒さんが決めてくれました。「女流、かっこいい」と素直に感じてしまったこの演目には、なにやら家元のプレゼンを感じますな(笑)。

お三味線が好きですが、唄もいいですねー。

後半は、杵勝会の屋台骨をなす演奏家がゾクゾク出演。

「蹴鞠」(唄/利光・松永忠次郎、三味線/勝正雄・上 勝十郎)は、勝正雄さんの柔らかい指使いに目が釘付け。上調子との掛け合いが美しいこと。

そして、いちばんの眼目は、もちろん勝国さんの「多摩川」。
唄が勝四郎・巳之助、三味線が勝国・勝松、と二枚二挺のこぢんまりした編成ですが、勝国さんの生音がじっくり聞けるので返ってありがたい。

先日まで自分の課題曲だった「鞍馬山」も大薩摩の名曲なのですが、「多摩川」も大薩摩から始まり、こちらはまただいぶ違った雰囲気です。山間の渓流からこんこんと流れてくる水流が勢いをまして、急流が岩に当たって白い波飛沫をあげたり、ぴちぴちと鮎が跳ね上がったり、留まることなく流れる清流の様子が目に浮かんでくるような、長く雄壮な大薩摩…。(聞き惚れて息をするのを忘れていました。)流れは、ゆったりと大きくなり市井の方におよんで、鵜飼いや晒し女の働く姿をその風景の中に取り込んでいきます。「多摩川」ってこんなにドラマチックで面白い曲だったのだ。
(会場に広がるため息)
今年この演奏を聴けたのは至福でございました。新幹線を使って来た甲斐がありました。

おおとりは、家元率いる大楽団の「英執着獅子」。居並ぶ若手!杵勝会の盤石さに圧倒されました。東成さんの美声も麗しかったです。

っていうか、勝国さんCD出してください!10枚ボックスでも買いますので!



2014年12月20日土曜日

絶品の牡蠣!ニコルで忘年会

いつもお世話になっているI田さんと、久しぶりにニコルで吞みました。

巷は、光のページェントの季節です。
S市J禅寺通りのケヤキは背が高いので、電飾が映えるなー。

ページェントのおかげで市内は大渋滞。おまけにタクシーが来なくて、I田さんを待たせてしまいました。すみませ〜〜〜〜ん。あ、もうやってましたのね。
最初の一杯は、いわて蔵ビールのドクダミハーブビール。爽やかな苦みで美味しい。

お通しは、東松島東名産 生牡蠣!
そのまま食べるのです、漁師のように!こってり身がつまっていて、旨し。

自家製の笹かまぼこです。ぷりっぷりっです。
地物の寒鱈とホタテ、自然薯のみでつくっているとか。なんにもつけずにいただきました。ピールのはあとは、今日は日本酒をぬる燗で…楽しみながら、おすすめの日本酒(悦凱陣・黄金澤…)をいろいろいただきました。

 松島産 穴子の煮凝り。旨し、旨し!ご飯が欲しい。

あ、アジフライとポテトサラダは定番なので、当然食べました。写真?うわ、もう残ってないよ〜。

究極のカキフライ。本当はもっと大きいけど、2個分のを3人用に仕上げてもらいました。それでもミルキーな牡蠣が5コくらい入っていて、存分に旨し!
なんでニコルの牡蠣はこんなに旨いんだ〜。

最後はトドメで、オリジナル牡蠣のオイル漬けをお土産に買ってきました。

冬の間にもう1回くらいは行きたいところですー。

2014年12月16日火曜日

午後のまりやーじゅ・年末特集「教授の年末 蓄音機 & SPレコード特集」だって

年末ですね、今年の紅白は中島みゆきがスコットランドからの中継で、バグパイプ楽団をバックに「麦の唄」を歌うのかな?(←何げに予言)

さて、今日のS市は雪でした。
夕方、地道な仕事中に、傍らにパソコンで「らじるらじる」のNHK(AM第1)をBGMに掛けていたら、急に七代目芳村伊十郎の「勧進帳」が流れてきました。
午後のまりやーじゅの火曜日パーソナリティの黒崎政男の『オレソング』のコーナーだったんだな、これが。

先月の染五郎の満を持しての弁慶役のことなど熱く語り出す黒崎先生…。

当然、手が止まりますわね。

そうだ、そういえば「年末のSPレコード特集にも期待しているよぅ、長唄・邦楽たっぷりよろしく!」と100万人の純邦楽愛好者に変わってメッセージ打っとかなくちゃ!と、
おもわず iPadに手が伸びて、コメントいれたら…

読まれてしまいましたよ! (*≧m≦*)

(すごーい、ラジオでコメント読まれたのって高校生以来かも…。
ちなみに、高校のときは、所ジョージさんと近田春夫さんです。 
ψ(`∇´)ψ自慢かよ!…って仕事してないって、誰か突っ込みました??)

これって、黒崎先生的に「あい、分かってるよ!」の合図かな?期待していいのかな?

そんなわけで、必聴の年末番組はこれです。
                ↓
【午後のまりやーじゅ・年末特集
「教授の年末 蓄音機 & SPレコード特集」
   12月30日(火)午後0時30分〜4時55分

*ご好評に応えてお送りする「蓄音機 & SP特集」第5弾。スタジオ内に骨董的価値のある蓄音機を設置し、さまざまなSPレコードをおかけします。ゲストはピアニストの仲道祐子さん。年末のひととき、SPの優雅で奥深い“音”をお楽しみください。(NHKのホームページより)

レアな音盤を数多く蒐集なさっている黒崎教授、何が出てくるのか今から楽しみ。蓄音機のバルールの深い音響で、幻の名盤をこの年末もたっぷり聞かせてくださいっ!!

ちなみに、同時間の29日(月)には、「なぎら健壱 年忘れ好奇心」があり、歌謡曲の原型となった大正・昭和初期の曲を発掘してきて特設コーナーで歌ったりするそうです。


*昨日アップした、祥雲閣での神田陽司先生の大崎市の公演が代演となったという情報がありましたので、混乱を避けるため、日記を取り下げました。あしからず。

2014年12月14日日曜日

宮城県民会館開館50周年記念「笑いの芸術 野村万作・萬斎 狂言公演」

いまやネーミングライツで「東京エレクトロンホール宮城」と名を変えましたが、元は「宮城県民会館」と言った県立ホールが50周年だそうで、その記念の冠がついた「狂言公演」がありました。


宮城県民会館開館50周年記念
「笑いの芸術 野村万作・萬斎 狂言公演」

<解説>  野村萬斎

狂言「隠 狸」
    太郎冠者 野村万作
    主    石田幸雄

狂言「首 引」
    親鬼 野村萬斎
    鎮西八郎為朝 深田博治
    姫鬼 中村修一
    眷属 岡 聡史
    眷属 飯田 豪
    眷属 高野和憲
    眷属 破石晋照

萬斎さんの解説は、いつも思いますが、上手い!
初心者でも無理なく面白く筋を理解させられるし、「ここをきっちり考えてしまうと狂言を楽しめませんから」という、ある種の突き放し方と誘い方が絶妙で、いつの間にか感性を狂言モードにシフトチェンジさせられつつ、しっかり予習をさせられているのでした。
全国で、海外公演でも、解説係らしく、なんていうか手練れだね。「我々本当は東京から来ているわけですが、S市でもシンガポールに行っても「この辺りの者でござる」っていえば、そういうことですから」…(笑)。歌舞伎系でも、文楽でも、能・狂言の他流派でも、初心者向けの公演や地方公演では誰かが解説やMCをやっていると思われますが、たぶん萬斎さんの右に出る物者はいないだろーなーと、思いながらいつも聞いてます。

1本目は「隠狸」で、これは万作の会のトップ2の共演ということで、万作さんの太郎冠者と石田幸雄さんの主。

主人に隠れてサイドビジネスに狸を捕っては市場で売って小遣い稼ぎをしている太郎冠者に、「お前狸捕りの名人だってな、狸汁するからってお客さんを呼んだので狸を出せ」とご主人さま。「狸なんて捕ったことなどありません」とシラを切ってしまったので、そこからドタバタな展開に…。
 ドリフだね。
昭和育ちの感性からすると、この主と太郎冠者は長さんと加藤茶んのドタバタに重なりました。最後は回り舞台が出て来そうだったけど、橋掛かりを帰ってきました。
こういう、根のカラカラした愉快さは、最近のお笑いにはあまり感じられません(もっともあまり見てもいませんが)ドリフのコントは狂言だったのか?
そして、太郎冠者が腰に隠した狸(の縫いぐるみ)がかわゆい(* ̄ー ̄*) 

万作さんの大らかな芸は本当に胸の底まで明るくしてくれます。市場の真ん中で、主人の策略を感知しながらも、お酒をすすめられて、つい旨そうに吞んでしまうところは、先日いまいち物足りなかった若高麗屋の弁慶のあのシーンのときに、自分がイメージしていた芸はこれだった!と思いました。ふっくら酒の香りを楽しみつつ、くいーっと吞んで、軽く舌を鳴らして美味しく味わった感触を伝え、つい嬉しそうな表情が出る。それがさらさらと自然に行われて押しつけがましさがありません。

この演目は狂言小舞(「兎」「花の袖」「鵜飼」)が挿入されているのも見どころとのことです。

「首引」は、萬斎さんの親鬼、深田博治さんの為朝、中村修一さんの姫鬼、他。為朝以外はみんな鬼なので面をつけての出演です。

可愛い娘の食い初めに、筋骨隆々の為朝に白羽の矢を立てた親バカの鬼。「姫鬼と勝負して負けたら食われてやろう」と提案をして急場を逃れる為朝。鬼とはいえ花も恥じらうお姫様…。腕押し(舞台上で腕相撲…地味!)、すね押し(なんだかもっと地味…可笑しい)、と挑戦するけど豪傑無双の為朝にはかなわない。イヤイヤしながら、いちいちぴょんぴょん橋懸かりの向こうまで隠れてしまう(←かわいい)。なかなか勝負が付けられず、気が気でない親鬼は眷属を呼びだして応援させるけれど…。
人間よりも人臭い鬼の親子の姿に、思わず(為朝さん、負けて食われてやれよー)と心で呟いてしました(笑)


【萬斎さんのテレビ出演情報】

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」果てなき芸道、真の花を―狂言師・野村萬斎
・2014年12月15日(月)22:00~22:48 NHK総合テレビ
  ※再放送 12月19日(金)午前0:40~1:28(18日深夜)

フジテレビ開局55周年特別企画 ドラマ「オリエント急行殺人事件」
・2015年1月11日(日)・12日(月祝)21:00~ フジテレビ系列 2夜連続放送


2014年12月8日月曜日

遅ればせながら、『昭和残侠伝』を見て故高倉健さんを悼む

先週金曜の帰り道、仕事オワタ〜のノリで、TUTAYAさんから『昭和残侠伝』を借りてきました。高倉健さんの訃報につづき、菅原文太さんも亡くなったというニュースが入ってビックリしましたが、追悼番組ではマスコミが暴力団追放の世相に配慮して、ヤクザ映画は放映できないという事情があるとのことなので、虫六的な追悼をしたいとDVDで見ることにしたのでした。
やっぱり、健さんといえば『昭和残侠伝』や『網走番外地』…、文太さんといえば『仁義なき戦い』でございましょう。いえ、『幸せの黄色いハンカチ』は良いんだけどね。

それで、TUTAYAさんに行きましたら、同じことを考えている方々はいらっしゃるようで、『昭和残侠伝』もけっこう貸し出し中で、第1作はすでに空ケース。でも第2作『昭和残侠伝・唐獅子牡丹」と第3作「昭和残侠伝・一匹狼』がありましたので、3泊4日の制限付きだから見れても2枚くらいか?とその2作をチョイス。ついでに何かあるかな?と自宅に電話したら、「あんただけ仕事片付いたからって余裕かましてんじゃないの。そんなの見てる暇ありませんから、自分で勝手にみてください」と悪態をつかれてしまいました。…世知辛いのう。

で、ふんっ、そんなら勝手にみせて貰います…と、1本目を土曜の夜中に見はじめましたら、すりすりと虫六子が寄ってきて、いつの間にか隣で見はじめ、そこに出張帰りの家人Tが参戦。結局、みんなでどっぷり浸ってしまいました。なんだ、おまいらも結局見るんじゃないか。   …それにしても…
健さん、かっこいい...。

そして、今日は2本目。今度は夕食時のゴールデンタイムに昇格して、これまた家族一同どっぷり…。

虫六子「健さん、どうして着物の衿開いて胸みせてんの?はだけ過ぎでね?」
虫六「衿をはだけ気味にあわせて、晒しを巻いているところをチラ見させるのが、渡世人風の着流し姿なの。きっちり来てると、いざという時に諸肌脱いで、背中で吠えてる唐獅子牡丹が見せられないでしょうが…」

あぁ、ヤクザ映画の文化はこのまま絶滅危惧種になって行くのでしょうかね。暴力団は嫌だけどさ。

ちなみに、『昭和残侠伝』は1〜3作目まで監督は佐伯清監督。4・5・7作はマキノ雅弘監督、6作目は山下耕作監督。8・9作は再び佐伯監督です。
2作見ただけでしたが、物語の枠組みはほぼ同じでした( ̄◆ ̄;)。設定が石切場と漁師町の違いくらいで…。同じパターンで9作持たせたんですね。
...健さん、逃げ出したのか(;'д `)

しかし、キャストはキラキラしてました。藤純子さんは3作目に出て来ましたが、やはり綺麗でかわいい(この頃はまだ「緋牡丹のお竜」じゃないのね)。ライバルなんだけど、最後は味方の池部良がまたカッコいい。何度殺されても次の作品にはまた出てくる不死身の男!まだ梨園の妻にも国会議員にもなってない扇千景も出てました。
2作目には、子役で穂積ペペが!! 
そして、随所に埋め込まれている昭和のあじわい(設定は昭和のはじめ、戦前の任侠界なのでした)と義理人情の方程式。刹那的で命がけの美学は、高倉健という美しい俳優に具現化されておりました。そういえば、健さんが歌う「唐獅子牡丹」のテーマソングはド演歌。今聞くと、どこぞのカラオケか?と思うけど、当時は直球でしびれる唄であったのでしょうね。そういえば、鶴田浩二さんなども歌ってましたね。
そんなわけで、なんだかいろんな意味で盛り上がってしまった虫六家でした。

今度は7作目の「昭和残侠伝死んで貰います』を見たいと思っている今日このごろです。健さん、フォーエバー!!



トンネルを抜けたらそこはゴミの家だった

恒例の激務マンスリーをぬけでて、今日(7日)は13日ぶりにお休みでした。
この時期、家人Tもなにやらお仕事追い込まれているらしく、YB校通いの虫六子も天王山間近…とあって、みんな余裕がありません。そんなわけで、ほぼ2週間ほどハウスキーパー不在の我が家。洗濯は着る物がなくなるので、なんとか洗濯機をまわし(全自動ですから)、食わないと死ぬので総菜やら鍋やらレトルトやらでなんとか凌ぎましたが…。いちばん後回しになるのが掃除…。

いえ、そこら中が埃まみれになっていることは目に入っていましたが、はい、見ないふりして過ごしてました。

でさすがに堪えきれんぞー!って、濡れ新聞紙まいて、大掃除みたいに箒ではいて、さらに掃除機掛けて、最後に水拭きまで頑張った。汚れとったー、ゴミ溜まってた—。
よくこんな家に住んでたなー、俺たち。慣れって怖いナー。

2014年12月3日水曜日

11月に読んだ本

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:415ページ
ナイス数:20ナイス

世の中ついでに生きてたい (河出文庫)世の中ついでに生きてたい (河出文庫)感想
もう録音でしか出会えない志ん朝師匠の、対談集。「様子がいい」「ぞろっぺぇはむずかしい」「(芸人が)化ける」「芸は人なり」…。ああ、こういうとこに芸の面白さ、見方はあるんだなぁと心に響く話がたくさんあるのだが、悔しいのはそれをもう生で見ることはかなわないということ。ついでいいからもっと生きて欲しかった。勘九郎丈(のちの十八代目勘三郎)やこぶ平師匠(現・正蔵)との、名人を親に持ち同じ道を選んだという境遇が似ている芸人どおしの対話も、だからこその人生への向きあい方が語られていて興味深い。
読了日:11月24日 著者:古今亭志ん朝

パパは楽しい躁うつ病 (新潮文庫)パパは楽しい躁うつ病 (新潮文庫)感想
うつ病というのは最近よく耳にする病気ですが、躁うつ病というのも大変なんですね。北杜夫さんの躁うつ病はとても有名だったそう。それを深刻がらずに看護婦さんのように受け止めた奥さん、むしろ面白がって付き合ったお嬢さん。病気も収まり加減の晩年にかわした父娘の対話。北さんのおとぼけ具合がなんとも愛嬌。とはいえ、躁状態がやってきたときの株狂いと猛烈なメモ攻撃は凄まじい。そのメモを改めて読み上げる二人も達観してます。躁状態で「徹子の部屋」に2日連続出演というも見たかった。すみません、やっぱり面白がっちゃいました。
読了日:11月12日 著者:北杜夫,斎藤由香

読書メーター

2014年11月23日日曜日

石川さゆりコンサート2014

演歌歌手という枠組みを超えて、石川さゆりさんが日本の当代女性ヴォーカリストの中でもピカイチの実力と思う人は、虫六だけではないでしょう。

いわゆる歌謡曲だけでなく、民謡、浪曲、俗曲ばかりでなく、瞽女唄や、はては、バナちゃん節まで、日本の芸能のすみずみにまで目をくばり、しっかり勉強して、自分のステージに取り入れてきた石川さん。以前から、1粒で2度美味しいアーモンドグリコのようだ(←古っ!)と称されるそのステージを1度見たい、行ってみたいと思っていた(ホント、明治座のスケジュール探ったりして)のですが、このたび7年ぶりにS市に来てくださいまして、晴れて足を運ぶことができました。


ステージ全体を楽しむため、2階席最前列です。
2部構成で、ツアーのテーマは「Visit Japan 〜日本を訪ねる〜」。

【第一部】
・能登半島
  (濃紺にあざやかな菊模様の振り袖で登場!日本各地を巡ります…、北陸・四国・大阪です。)
・波止場しぐれ
・夫婦善哉
  (3曲たっぷり聞かせて、早変わり!↙)
・ウイスキーが、お好きでしょ
  (今度は雰囲気変わって黄色に黒地の波模様。タイガーのような柄だった)
・ふじの山
  (ここから唱歌を3曲。唱歌といえば小沢昭一さんですが、全く雰囲気違いますね。アレンジも変わってて面白かった。)
・ずいずいずっころばし
  (お客さんに手を出させてやってました)
・かあさんの歌
  (この歌は、実家のお母さんのアカギレ話などしながら思い入れがあるそうな…。日本を訪ねるって、日本人の心や文化を訪ねるってことですね、当然ながら)
・ヤットン節〜トンコ節
  (色物芸の俗曲です。うまいわー、本領を感じる。)
・お富さん
  (民謡コーナーに突入)
・ロック・ソーラン節
  (近頃は奥田民生や椎名林檎ともコラボレーションしている石川さん。今年は野外フェスにも出演したということで、会場にもロック調の合いの手を要求!場内平均60~70才か?と思われる高齢客層でしたが、みなさん元気に♪ソーラン、ソーラン。ハイッ、ハイッ!)
  (民謡コーナーでは、会場のリクエストに応えて、会津磐梯山や黒田節なども即興アカペラで歌ってくれました)
浜唄
 (この歌は、東日本大震災の慰問で訪れた東松島の人たちとの交流から生まれた曲で、地域に伝わる「獅子舞」を復興したいけれど、浜甚句を歌える人がいないとの相談があり、地元に歌える古老を訪ねて、芸の掘り起こしをしたそうなのです。津田さんというおじいさんが聞かせてくれた歌は、自在で(聞くたびに歌詞が変わったそうな( ̄◆ ̄;))、味のあるとても良い歌だったのですが、それを石川さんがNHKなどの歌謡番組で披露したいと思うと、マイナー過ぎて難色が示されるので、どうしようかと悩んでいたら、作詞家のなかにし礼さんが、それなら歌謡曲の中に挿入曲として入れ込んで仕立てたらみんなに覚えてもらえるのではないか?と作ってくれた1曲だそうです。前奏には、津田さんのオリジナルの一節も流れて、石川さんの思い入れが伝わってきました。)

【第二部】
・落語『芝浜』より
  (後半は、いきなり落語です。去年の明治座本公演用に「歌芝居 芝浜~おんなの心意気~」をお作りになった際、自分が落語をみせて歌芝居に入っていける演出にしたいと、立川志の輔師匠に手ほどきを乞うたとの落語。人情噺のさわりを披露。今度は落語か〜、果敢だなー!がってんがってん!を連呼していました。そして、その劇中のテーマ曲↙)
・紫蘭の花
・越前竹舞い
  (石川さんが大きな影響を受けた水上勉氏の小説『越前竹舞い』をモチーフに舞台化した際のテーマ曲。)
・名うての泥棒猫
  (今年4月にリリースした椎名林檎とのコラボレーションシングル。椎名とのコラボは今は亡き十八代目中村勘三郎の遺言(アドバイス?)だったと、テレビの対談で言ってましたね。)
・暗夜の心中立て
  (こちらも同シングル。天城越えロック版か?)
・津軽海峡冬景色
  (ここから3曲はたっぷり!石川さんが特に大事にしている3曲なのかな。客席の満足度もぐーんと上がっていく感じです。この声、どこから出てくるのか〜って感じです。)
・風の盆恋歌
・天城越え
  (虫六的には、天城越えを生で聴けたというだけで元は取れたといいますか、満足しました!)

【アンコール】
・朝花
  (しんみり (*´ェ`*) この歌を最後って決めているのかな。)

いわゆる地方公演のプログラムセットなので、舞台構成は明治座の本公演のようには凝れないかもしれませんが、存分に楽しめました。MCまでお一人でやっていて、それがこなれていて嫌みがなく上手でした。
場内には、虫六の母世代を中心として同世代もけっこういたかな。女性が7割くらいでしょうか。立ち見まで完売したらしい。ファンのみなさん、7年待ってましたから。
虫六の後ろに二十歳くらいの若い女性がいらっしゃいましたが「重い歌をいかにも重そうに歌う歌手はいっぱいいるけれど、石川さんの歌はさらっと歌ってもとても心がこもっているのが伝わってきて大好きです」と話してました。(そうだよね、歌のテクニックに加え、解釈が深いんだよね…と、心で相づち)お嬢さん、コンサート終わる頃には感激で号泣してましたな。

また、来年も来てくれるといいなぁ。今度は相馬の母を誘って見せたいです。



2014年11月19日水曜日

ヴェーセン 25周年ジャパンツアー in 山形

家人Tと、スウェーデンからやってきたアコースティック・アンサンブル「ヴェーセン」のコンサートに行ってきました。

ヴェーセンは、スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパ奏者のウーロフ・ヨハンセン、ヴィオラのミカエル・マリーン、ギターのローゲル・タルロートの3人によって1989年に結成されたグループです。これまで13枚ものアルバムをリリースし、スウェーデンではグラミー賞を受賞するほどの実力派で、日本には2004年と翌年に来日を果たし、多くのファンを魅了しました。2006年には日本の無印良品のBGM8のために楽曲を提供しているので、どこかで聞いている人もきっといるはず。

山形公演の会場は、山形県郷土館「文翔館」(旧県庁舎及び県会議事堂)。大正5年に建てられた英国近世復興様式のレンガ造りの建物です。大正初期の洋風建築を代表する建造物として、国の重要文化財に指定されているそうです。

北欧の伝統音楽ってどんなものぞ?と思いましたが、軽やかで柔らかいアンサンブルで、気持ちのいい音楽でした。この建物にもとてもマッチしていて、心の洗濯ができました。

ヴィオラってとても自在に音を繰り出す楽器なんだというのも新鮮でした。それを民族楽器のニッケルハルパの、明るくて、共鳴を纏った華やかな音が彩りを豊かにし、ギターが全体を締めている感じかな。田舎の結婚式にいるような、ついつい、ステップを踏みたくなるようなハッピイな音楽なんだけど、現代的な感じもあって、不思議な音楽体験でした。

ヴェーセンの3人は、それぞれ身長が190センチ以上という大男ぞろい。(バイキングの末裔か?!)

ニッケルハルパ。
この楽器もはじめて知りました。変わった楽器もあるものだ。
バイオリンみたいな弦楽器かなと思うと、ネックの下にキーがついていて、それを持ち上げるようにして音階を決めるそうです。演奏をする弦は4本なんだけど、他にも弦が張ってあり、それは共鳴弦で、教会で弾いているような自然な残響感があるそうです。抱えるように支えて、短い弓で弾いていました。

この楽器の歴史は古く、中世の遺跡(世界遺産のゴットランド島にある教会)のレリーフに、ニッケルハルパを演奏する人の姿が彫られていたり、

同じく中世の教会の壁画にも、やはりニッケルハルパを演奏する天使が描かれているそうです。

ツアーはこの先、神戸・名古屋・東京・福岡をまわるそうです。
まだ、当日券もあるそうな。おすすめです!

【おまけ】
せっかく山形まできたので、そばを食べて帰りました。
今日は、庄司屋さんの桜エビ天そば(温かいやつ)。山形は寒かった〜!


2014年11月17日月曜日

出張帰りに染高麗の「勧進帳」

12日、東京出張がありまして、午後3時に要件が終了。つい、ふらふら〜っと木挽町に足が向いてしまいました。

お、やってるねぃ。歌舞伎座。
今月は、初世松本白鸚三十三回忌追善公演の吉例顔見世大歌舞伎であります。
なにしろ話題は、市川染五郎丈が「勧進帳」の弁慶を初役!
これは、見届けなければなるまい…つわけで、幕見に並ぶことにしました。平日なので、狙い目と読んできたのよね。ふふふ。

幕見席。すでにチケット売れていて、2列目になっちゃいましたが。真ん中寄りゲット。
が!うぬぬ、幕見だと花道七三しか見えんかー( ̄◆ ̄;) 六方が…。誤算だったか。

(あ、幕見のチケットの売り方変わったのでしょうか?夜の部の「鈴ヶ森」の売り出し開始後だったせいか、4階で買ってくれと。4時までに集まってくださいと解き放たれ、時間になって4階に戻ると、そこで順番に整列させられ入場…と。ずっと並んでいるより時間が有効に使えて良いですけどね)。

とりあえず夜の部は三本ですが、本日は日帰り出張なので幕見で前半の二本を拝見。

平成26年度(第69回)文化庁芸術祭参加公演
初世松本白鸚三十三回忌追善公演
吉例顔見世大歌舞伎

一、御存鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
   
 幡随院長兵衛  松 緑
 東海の勘蔵   彦三郎
 飛脚早助    権十郎
 北海の熊六   團 蔵
 白井権八    菊之助

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
   
 武蔵坊弁慶    染五郎
 源義経      吉右衛門
 亀井六郎     友右衛門
 片岡八郎     高麗蔵
 駿河次郎     宗之助
 常陸坊海尊    錦 吾
 太刀持音若    金太郎
 富樫左衛門    幸四郎

(三本目は、「義経千本桜」の「すしや」でしたが、涙を飲んであきらめました。)

高麗屋にとってはお家芸の弁慶役。染五郎丈には、長年の憧れの役であり、出来て当たり前の必修科目らしいのですが、なんと41才にして初役とな。若い時に1回くらいやってみたりしなかったというのが、この役に対しての染五郎の思いの強さが伝わってきます。満を持しての初役なんですね。

なにしろ、太文字の立役というよりも、スッキリした二枚目って言う方がイメージにあう染高麗ですから、粋な感じの役柄とか、色悪なんかにニンを認めてしまいますが、こういう役しなければいけないのですね、高麗屋ですから。
これまで、がんばってんなーって感じるくらいの立ち役への挑戦もこの日のためだったのですね。


それで舞台はどうだったかというと、期待以上の上出来だったと思います!(私が言うのも僭越ですが)。

最初の登場は花道で、義経一行の殿で出てきますが、虫六幕見でしたので花道の奥の方の様子が分かりません。その前に舞台には幸四郎の富樫がいて、ただならぬ存在感だったので、なんだか口跡のよい太い声が聞こえてきたので、幸四郎がセリフを言っているのか?と思ってしまったのです。ところが、はっと気がつくと花道のかろうじて見える端っこに、染高麗の弁慶の頭が見えて、セリフを言っていたのです。姿でなく、口跡が心を捉えました。(全く個人的な感慨ですが、この現れ方は一生の記憶に残る!)

父の幸四郎を富樫、伯父の吉右衛門を義経に配した、重厚な舞台ではありましたが、しかし、染五郎の弁慶は押しつけがましさない、とてもスッキリしているけど華奢ではない存在感で好感が持てました。富樫との問答も緊張感ありましたし、なにより幸四郎の富樫が慈愛というか深みがあって良かったな。また、普段は絶対に見れないというご馳走感たっぷりの吉右衛門義経も気品があって、弁慶はあくまで家来という主従関係が無理なく伝わってきて、芝居が分かり易かったです。

延年の舞もキレの方が目立って踊りのうまさがありましたが、楷書の芸っていうのかな。これから何回も回を重ねて円熟味をつけていくんでしょうね。虫六は、たっぷりお酒を吞む場面で、酒の匂いを感じさせるようにふぅ〜っとやるところが好きなんだけど、そういうのは型どおりでしたね。

引っ込みの六方は、七三で見栄を切るところしか見えなかった(カッコ良かった!)のですが、てんてんてんという六方を踏む音も耳だけで味わい、心の目で拝見しました。きっと立派な引っ込みだったことでしょう。花道の生写真が欲しかったのですが、これも幕見なので断念 (ノд・。) 

幕見席からは、新しい歌舞伎座の舞台が一望出来るのですが、染高麗の弁慶はその焦点にいて、確実な存在感を持っていました。歌舞伎の新しい時代の始まりに立ち会ったと言う感慨がありました。

怪我をしたときは本当に胆が冷えた染五郎丈。でも、しっかり復帰して、こんな弁慶をみせてもらって嬉しい限り。これからの歌舞伎界をリードして行って欲しいと思います。


「勧進帳」が終わって7時、地下の木挽町広場に行ったらすでに片付け終了。
ここは毎日すっからかんになるんですね。不思議ー!

2014年11月15日土曜日

自分に似ている人

松の会の演奏会が終了したあとは、お楽しみの食事会なのでした。

 あ、これ会場だった料亭・赤坂金龍の本日のお品書きです。

いつも、この食事会を楽しみにしているのは、お料理が美味しいのと、松の会の皆さんとお話が出来るからです。で、今日はお向かいに圭哥さんことAさん、圭楓さんことYさん、お隣は露生さんことOさんという黄金トライアングル。

 先付 胡桃どうふ。
で、今日もいろいろな楽しい話題がありましたが…。
ひとつ、虫六積年のつっかえが取れた話がありました。

前菜 紅葉南瓜 秋刀魚棒寿司 慈姑煎餅 鰻カステラ 餅銀杏阿部川
それは、虫六が誰に似ているかという話。
世界には、自分にそっくりの人が3人いるという話がありますが…。誰でも、誰かに似ているねなんてことを言われることはあると思います。でも、その誰かによっては微妙…ってこともありますよね。

お椀 蕪菁真丈 嵐山紅葉
で、最近、虫六に似ているらしい人は、姉弟子Cさん周辺では、濱田岳クンだって言うんだね。
…どこが似ているのか、ぜんぜんピンと来ませんが。小柄でぷくぷくしているところか…?おでこなところ?ふーん、虫六子も濱田クンは好きだが母とは似ていないと申しております。
っていうか、濱田クン、男子だし。

造り 鮪 鯛 烏賊 山葵醤油
で、で、またその話をされたので、うーむと納得できないまま、
「私、若い時はよくジュリエット・マシーナに似てるって言われました」とカミングアウトしたところ…。

Aさんがすかさず、「あぁ、なんとなく分かる。でも、それ嬉しくないわね」と!
 
 焼き物 銀鱈洋風焼 べったら大徳寺
(うわ、そうなんです。なんか、微妙だったんです!)
Aさん「だって、彼女、不幸顔だもんね。あなた、そうじゃないわよ。」
(うをー、うをー、それだ!それだったんだ!)
Aさん「いや、印象的な役がそうで不幸顔のイメージがついたのかもしれないから、素顔の彼女はわからないけどね。」

 煮物 鰊昆布巻 里芋 南瓜
そうなんですよ。実際は、フェリーニ監督の奥さんだし、聡明な方らしいし、似てると言われれば光栄でこそあれ、文句をいう筋合いはないのですが…。なーんか、ひっかかるものがあったのよ、おれ。(しかも、家人Tを含め、数人の男子に言われておりました。たぶん褒めてくれたつもりで。)

油物 椎茸双身揚げ 海老尾立揚げ
そんなわけで、このん十年氷解しないままだったこだわりを、この日Aさんが打ち砕いてくださいました。でも、ジュリエット・マシーナさんは好きですよ。彼女が出演した映画も!

ま、歌舞伎座界隈で、舞台をバックに筋書きを撮っている濱田岳似のおばさんがいたら、そいつが虫六ですってことで。

食事 麦とろ 香の物
こんだけ食べても、トロロご飯はお腹に入ります。きっと擂り鉢ですりすりしているな、このトロロは。全体に仕事がしてあるおいしいお料理でした。さすが、赤坂の料亭は違いますね〜。

あ、フルーツ撮り忘れた!

2014年11月9日日曜日

十一月新派特別公演

さて、今年のお浚い会を無事(でもないですが)乗りきりまして、自分へのご褒美に、ひさびさ黒い虫六、新橋演舞場に姿を現すであります。ほっほー。

いつもとなーんか違うなぁと思ったら、櫓が立ってないのだ。歌舞伎じゃなくて新派だから立たないのですね。ある意味、新鮮。…そう思って振り返ってみると、新派の舞台ってほとんど見た事ないんだな、初めてかもしれず…。

なぜ、新派の舞台を見に来たのか?それは、十七世・十八世の中村勘三郎追善公演で、中村屋の若太夫兄弟がご出演だからです。追善公演は10月歌舞伎座でも行われていましたが、次の上京は11月1日のお浚い会と決まっていたので、狙いを定めてのチケ・ゲットであります。

◆十一月新派特別公演


平成26年度(第69回)文化庁芸術祭参加公演

一、鶴八鶴次郎

   鶴賀鶴次郎 : 中村 勘九郎

   鶴賀鶴八 : 中村 七之助

   興行元 竹野 : 立松 昭二

   弟子 鶴子 : 瀬戸 摩純

   番頭 佐平 : 柄本 明

二、京舞
  ―劇中追善ご挨拶申し上げます―

   片山春子 : 水谷 八重子
   杉浦 : 近藤 正臣

   おきく : 高橋 よしこ

   松本佐多 : 伊藤 みどり

   おまき : 青柳 喜伊子

   まつ子 : 石原 舞子

   片山博通 : 中村 勘九郎

   片山愛子 : 波乃 久里子

 劇中に追善ご挨拶があり、毎回ゲストが変わります。

■日程
 2014年11月1日(土)~25日(火)

昼の部 11:00開演

夜の部 16:30開演

そんなわけで、追善公演の演目は、芸もの二題。
『鶴八鶴次郎
』。鶴次郎(勘九郎)と二代目鶴八ことお豊(七之助)は、新内の相方で、若いながらもそれぞれ名人の呼び声高い人気者。舞台のこととなると、互いに譲らず喧嘩がたえない。っていうか、鶴八にご贔屓の旦那ができると鶴次郎の機嫌が悪くなり、ついつい難癖つけて意地の張り合いが…、というめんどくさい関係。なんだかんだでお互いに好いていることが分かり、夫婦になる約束をして、師匠でお豊の母である初代鶴賀鶴八の名のついた寄席「鶴賀亭」を作ろうと心をひとつに。しかし、その寄席を作る資金を贔屓の旦那に借りたことが分かって、鶴次郎はまたまた嫉妬で逆ギレ…、愛想を尽かしたお豊はコンビ解消を言い渡して、旦那のもとへ、三味線弾きをやめてしまう…。

難しいなー、芸人は。互いが才能を認め合う天才どおしなのに、それが発揮できない、芸を潰してしまう方へ方へと向かってしまう、依怙地さ。もったいないっていうか、犯罪行為でしょ。男の悲哀の前に、どうにかしろよ、そのめんどくさい性格を!と突っ込みたくなった虫六です。

でも、寄席が華やかな頃の楽屋と、落ちぶれた芸人が行き着く場末感、大正時代の芸能界ってこんな感じだったのか。新内の全盛期でしょうし。このお芝居は川口松太郎が第1回の直木賞をもらった小説の舞台化らしいです。鶴次郎の役は十八代目も務めたとのこと、そうでなくても勘九郎がやると被ってしまいますけどね。

『京舞』の方は、三代目井上八千代さんをモデルに、北條秀司さんが書かれた脚本とのこと。京舞の家元の剛胆なキャラクターが面白い。まさに大刀自って感じ。これは、もとは十七代目が片岡春子役をやることになっていたのが、体調不良で降板することになり、水谷八重子(当時良重)が急遽代役をすることになったという曰く付きの役だそうです。

舞台が始まったときは、新派って女優がいっぱい出るんだなー、それにしても全体的に老齢化が…と、ちいと戸惑いましたが。京都の芸者衆の粋な風情は、ぽっと出の女優さんには表現できないわけで、次々出てくる洋髪に着物のご婦人方のカッコ良さに次第に目を奪われました。そして、大刀自に振り回されるお芝居が面白いこと…。新派、食わず嫌いだったかもしれません。波乃久里子さんも大奮闘。若い頃の役は…若い役者を使ってもありでない?と思わなくもありませんでしたが、後半はきりっとしていかしてました。勘九郎と七之助の新派出演は心強かったでしょうね。

虫六が見た日の追善挨拶のゲストは竹下景子さん。
白っぽい山霞の模様の着物姿がすごく清楚でステキでした。思い出話も面白く、頭のいい人だということがよく分かる。竹下さんもお三味線やっているんですよねー。

ロビーには、十七代と十八代の遺影が飾ってあり、思わず手を合わせてしました。
十八代を見送ってから、もう2年も経つんですね。本当にあっという間です。
でも、ふたりの息子は確実に大きくなっています。近くで見守っていてください。合掌。


2014年11月6日木曜日

松の会2014

11月1日、赤坂の金龍にて、「第14回松の会」があり、我が忠美恵一門も日頃のお稽古の成果を聞いていただきました。


虫六の出番は後半の2番目くらいで、出し物はこの1年お稽古してきました『鞍馬山』でした。
再三言い訳しておりますが、お仕事山場つづきでまったく暇なし。その状況で、朝早起きしての自主練…ではありましたが、前日の先生のホテルでの最後のお稽古で、やっとOKがでるというギリギリ感。っていうか、あのOKも先生のおまじないだったかも。
お三味線、人生の彩りのつもりが、ストレスになっております(爆)

で、ド緊張で本番がやってきまして。右にお唄の圭江先生、左に忠美恵先生、直矢さんと並んでくださいましたが…。(あれ、なんで先生、お三味線おいてんの?)

!!!!!!!!!!!!!!(゚ロ゚屮)屮

なぬー!前弾き、私ひとりでやるんですか!!
あー、そういえば大薩摩のときは確かに立てがひとりで弾いて、二枚目以降は三味線は膝にのせずに床に置いてました…思い出した。
思い出せば、先生「ここは貴女ひとりで弾くのよ!」とは言っていたけど、練習のときは先生もお三味線を持っていたので、このシチュエーションは想定外。脂汗が滲んできました。

「ハオー」の掛け声だけは先生が掛けてくださって、なんとかひとりで前弾き完奏。やったーと思ったら、緊張が持続できなくなり、合奏部分は音符があちこち抜けてしまいました。とほほ、せっかく覚えたはずなのに…。でも、何カ所かある独奏部分だけは立派に弾けたと、よしよしと先生に褒めていただき、モチベーションを明日につないだ虫六でした。

おわたー。

ところで、今回の『鞍馬山』は、虫六にとってはとっても勉強になり、かつ、とても好みの曲でした。
まずは、撥使いのコツのようなものが掴めた気がしたこと。これまで勘所をはずさないことにばかり気をとられていた私ですが、糸をビィンビィンならす感触がなんとなく身体に入って気がして、撥が、音を表現する上でとても大事だと理屈でなく実感できました。また、その上で勘所がばっちりあうと、倍音が増幅して、炎がめらっと膨らむような、ときにはアークが飛ぶような陶酔感がやってくるのですよ。これは、聞いている人より演奏している本人が一番強く味わう快感であると思っております。
そんなわけで、大薩摩、まだまだ奥深い。もっともっと上手になりたい。
次の課題曲も気になりますが…。

2014年11月4日火曜日

10月に読んだ本

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:539ページ
ナイス数:34ナイス

不屈の春雷〈下〉―十河信二とその時代不屈の春雷〈下〉―十河信二とその時代感想
「イデアリストにしてリアリスト」と著者は書いていますが、肚芸の深い大きな役者だったのだなぁ、十河信二という人物は。新幹線開発の秘話に興味を持って読み始めたのですが、後編の大部分は満鉄や浪人時代の話、人生の終盤に国鉄総裁を引き受ける際の密約として、「広軌新幹線」の建設を取り付け、政治家に潰されないように策謀と大芝居でコマをすすめる様は、まるで「忠臣蔵」!後藤新平や千石貢など明治以来の広軌派の仇を討ち取った體に読めてドキドキしました。開業式に招待されなかった十河の肚にあった思いが伝わってきました。
読了日:10月31日 著者:牧久

ドミトリーともきんすドミトリーともきんす感想
高野さんのお久しぶりの新作は、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹という日本の自然科学の礎となった大科学者たちの読書案内。若き科学者が学生寮「ともきんす」の母子を相手に、科学に詩が織り混じっているような不思議なやりとり。自己表現を殺して、漫画による実用書を目指したという高野さんの線は、強弱が付かない製図ペンで描かれたらしい。でも、基本的に定規で引いた形跡はなし。クールだけど、冷たくはない。やっぱり高野さんの世界になっている。トモナガ君の「滞独日記」を紹介したページの引用と挿絵は飾っておきたい。
読了日:10月5日 著者:高野文子

読書メーター

2014年10月27日月曜日

鞍馬山、未だ霧の中

虫六です。
職場では、毎週末にどっかんどっかんと血圧が上がるような行事ごとがあり、休み抜きの今日この頃、練習もままならないままに、今週末は「松の会」本番となってしまいました。あぁ。


今日は久しぶりで先生の稽古。予行演習で横並びで弾いていただきましたが…。げげ、暗譜ができてない…、手が停まってしまいました…||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||  
あんなに朝練したのに、身についてないじゃないか…。(っていうほど、練習してないってことですけど)…本番で白くなるのか俺?怖いぞ。

そんなわけで、出来にダメがでまして、譜をだいぶ削られてしまいました。とほほ。
ちょっと良いところだったのですが…悔しいなぁ。しかし凹んでいる暇はありません。抜いた譜の構成を覚えなければ!今年は、譜を見ないで弾くんだもんね。
…最大の敵は自分の中にいるってことで。






2014年10月16日木曜日

いまも線路がちぎれたままだった

10月初旬、テツ道ご指南役の皆さまと気仙沼線を走っているBRT(バス高速輸送システム)に乗ってきました。…という目的のツアーに参加して、なかなか足を向けるチャンスがない気仙沼を訪ねてみました。

 ツアーの出だしは、リゾート快速みのりで小牛田まで行きます。
リゾート快速、先日長野でも利用しましたが、お薦めです。

座席を回して、遠足気分で乗っていると、岩切あたり(はっきり覚えておりません)で、寝台特急カシオペアが急に車窓から見えて、車内のみなさん大騒ぎ!もうとっくに東京に着いてなければいけない時間なのに、側線に停まっておりました。機関車故障かナーとか、みんなドキドキしておりました。

戦隊ものみたいな顔つきのリゾートみのり(小牛田駅にて)。
あっという間でした。

 小牛田駅は、キハ車両の集合基地となっております。

東日本大震災の甚大な被害により、気仙沼線は柳津駅から鉄道は復旧されておらず、今も不通です。BRTというバスに乗り換えて、気仙沼まで行きます。
BRT*は、もともと線路だった専用道路と一般道路を乗ったり降りたりして進みます。鉄道で行くよりはだいぶ時間がかかるようです。私たちが乗ったバスは立派な低床ハイブリッドカーでした。
 *「BRT」とは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連接バス、PTPS(公共車両優先システム)、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムです。  …詳しくは、こちらを参考に。


一般道から専用道に入ります。
一般車両がまちがって進入しないようにハッキリ色分けしてあるようです。

鉄道線路があったところをタイヤで走る不思議な感覚。海を眺めながら、トンネルもくぐっていきました。

 あ、色分け道路だ、そろそろ専用道路から一般道へ降りる地点です。
ガランとして、何も無い土地という印象…。

ここは志津川駅付近の仮設商店街「南三陸さんさん商店街」。
今回は途中下車出来ませんでした。

あ、これは有名になった南三陸町の防災対策庁舎です。真横を通りすぎていきました。
更地に雑草が生い茂り、道路は工事されているけれど、殺風景な景色が延々と続いています。このあたり、震災前はどんな様子だったのかな。

 遠くの高架橋が途中で崩れていました。あぁ、線路がちぎれている。

うわっ、無残。
3年半、このままなのか…。国も、某巨大民間鉄道会社もなんとかしようとは考えていないってことなのだろうな。たぶん。

 本吉駅はまだホームがありました。
線路がここで切られて、ここから専用道路に入ります。

 瓦礫の山をみると、やっぱり心が冷えますね。まだまだこんなにあるんだ。

気仙沼駅に到着。
お隣は大船渡線のホームです。

 南町紫市場の特急寿司で、お昼をいただきました。

鉄道好きの親方。瓦礫の中から見つけ出したというOゲージ模型がカウンターにかざってありました。

K御大(86才)の付き添いで、御大のおばさま(95才)という方に会いにいきました。このあたりは、津波にさらわれてガランとしており、まわりは廃墟然とした建物が目立ちましたが、そのなかで営業しているお店や病院もありました。

「おばさん、若い時本当に綺麗で、おばさんに会いたいためによくお家にお邪魔したもんだった。でも、あいかわらずお若いね。」
「あらいやだ、Kちゃん、私ももう95ですよ。こんな普段着で失礼してごめんね」
    (まだまだお若いお二人でした…)

海の方に行ってみたい気もしたのですが、御大がご一緒だったので歩かせる分けにもいかず、タクシーで駅に戻りました。運転手さんに聞くと、気仙沼もだいぶ人が減ってしまって、がんばって仕事に出て来ている人のほとんどもまだ仮設暮らしなんだとのことでした。

 駅に戻ると、ポケモントレインが出発するところでした。

 1時間に柳津行き1本、本吉行き1本って感じですかね。

帰りは珍しいキハに乗って、一関経由で帰ってきました。S市についたら夜でした。

BRTという交通システムがどうかということはいろいろ評価が分かれているようです。
しかし、震災の生々しいキズを負った線路がずっと放置されている状況を間のあたりにすると、そのショックの方が正直大きかったです。地元の人は毎日これを見ているんですね。
復興の順番とか採算とかいろいろあるのかも知れないけれど、交通の問題は、国も「黒字民間企業に税金投入出来ないから、意見もできない」なんて投げ出さずに、国造りの問題としてリーダーシップを持って取り組んで欲しいと思った次第です。いずれ、まだまだ時間がかかりそうですが…。