2015年10月8日木曜日

文楽地方公演2015「心中天の網島」ほか

まいったなー。今年の文楽地方公演は「心中天の網島」でした!
木ノ下歌舞伎で拝見したのが予習みたいになってしまったよ。


○人形浄瑠璃 文楽 平成27年地方公演

<演目>
昼の部
 「団子売」
 「心中天網島」
    天満紙屋内の段
    大和屋の段
    道行名残りの橋づくし

夜の部
 「絵本太功記」
    夕顔棚の段
    尼ヶ崎の段
 「日高川入相花王」
    渡しの場の段

このところ元気のない文楽の名人の方々のなかで、清治師匠だけは地方まで回ってきて来てくれて、その鋭くも華麗なバチ捌きを聴かせてくださり嬉しいのでした。いつまでもお元気いてください。今回は脇を3人率いての「団子売」。大夫は呂勢・咲甫・希の若手、人形は文哉・紋秀でした。こういう演目がかかってしまうので、やっぱり昼の部から見逃せないのですよね。

また昼のつづきは、「心中天網島」。
天満屋内の段からなので、女房おさんの物語りが中心です。(それで入り口でお迎えしていたのかー!)奥は、予定では津駒大夫だったのですが、休演でピンチヒッターは呂勢大夫。連続出演です。夫婦のわだかまりも乗り越えて、家財道具を処分してでも小春を請け出そうと二人の心がひとつになったところにまさかの舅殿が出て来て無理矢理引き離される治兵衛とおさん、…呂勢さんと清介さんの修羅場をたっぷり聞けました。
切り場は咲大夫さんと清十郞さんでした。ここまでなかなかヒロイン小春が登場して来ないのですが、はじめの出方がどんなかというと、「手」です!みんなが寝静まった大和屋さんから、忍び出ようする白い手。…かわいい…。ところがこの手が、暗くて重くてなかなか開かない扉から心臓ばくばくさせながら必死で出てこようとするのが、伝わってくるんですよぅ。
人形すごい!ちなみに小春の使い手は勘十郎さん、治兵衛は先頃襲名したばかりの玉男さんです。やっぱりこの演目は文楽のが面白いです。

そして、夜の部。
「絵本太閤記」は、武智光秀(明智光秀)が逆臣ではなく正義を貫いて主殺しをするけれど、それを是としない厳格な母さつきや家族との葛藤が大筋。しかしなんですかねー、あの厳しい母親に育てられたからこその光秀の正義感なんじゃないか?!と思うと、このお話も最初から悲劇を内包しているんじゃないのと思いながら、主人公に同情してしまいました。それで「あんたが悪いから、親も子もこうして死んでいくんだって」断末魔に攻められるのは辛すぎるよ。昔の人ってドSだな。
「夕顔棚の段」は咲甫大夫に清志郞のお三味線、「尼ヶ崎の段」は文字大夫・藤蔵、英大夫・團七です。
後半はアクロバチックな「日高川入相花王」。安珍・清姫の川渡りの場面。ほとんどストーカーですねん清姫。お人形の早変わりも面白い趣向です。歌舞伎ですと、安珍・清姫といいますと「京鹿子娘道成寺」が有名ですが、この演目を歌舞伎舞踊に移した作品も、人形振りで踊ってとても面白くて好きです。

なんだかんだで夏休みやら振休やらありましたので、お休みいただき、昼の部からたっぷり堪能した1日でした。

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