2015年12月31日木曜日

玉三郎の『妹背山婦女庭訓』で今年のお芝居見納め

今年の歌舞伎芝居の見納めは、歌舞伎座で玉様一座。虫六子に気前よくおごってやり、待ち合わせたN姐さんと3人で観劇でございます。


○歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部

『妹背山婦女庭訓』四段目
 「杉酒屋」
   杉酒屋娘お三輪  七之助
   烏帽子折求女   松也
   入鹿妹橘姫    児太郎
   丁稚子太郎    團子

 「道行恋苧環」
   杉酒屋娘お三輪  七之助
   入鹿妹橘姫    児太郎
   烏帽子折求女(実は藤原淡海) 松也

 「三笠山御殿」
   杉酒屋娘お三輪  玉三郎
   漁師鱶七     松禄
   烏帽子折求女   松也
   入鹿妹橘姫    児太郎
   豆腐買おむら   中車
   蘇我入鹿     家六



久しぶりに一等席です。なんと花道のすぐ脇、七三が良い感じで拝めるお席です。
それにしても、歌舞伎座のチケットは値上がりしましたね。さよなら公演の前はもっと安かった(それでも十分に高かったが…)のに、今月などは幹部クラスの役者は玉三郎丈と家六丈くらいで、あとは息子世代の若い役者ばかり。正直、お高い感ありますね。…このプレッシャーを玉様おひとりにかけるのはひどいんじゃないかぁ。

実際に今月の公演の感想は「玉様学校」の発表会かな?…っていうくらい、役者の技量の差をはっきり見せつけられた感じでした。

前半の2場。「杉酒屋」から上演するというのは、話の筋がいろいろ分かってとても良かったのですが、松也丈の求女(実は淡海)が、ただの女たらしの色男にしか見えなくて、実は、暴政をふるう蘇我入鹿を亡き者にしようというミッションをもっていながら身分を隠している正義の味方という肚の部分が感じられないのでした。人気者だし、最近は若い一座で大きな役を付けてもらう機会も増えているけれど、たまに巧い役者さんの脇についてちゃんと勉強した方がいいのでは?と老婆心ながら感想。考えてみれば求女って複雑で大事な役どころ、松也さんには大変失礼かも知れませんが、ここに(仁左様!なんて贅沢はいいませんが)染五郎や勘九郎だったらどうだったかなと妄想してしまいました。頑張れ松也!
児太郎丈ももう少しというところ、セレブなお姫様なのでもっと華と神秘性があってもいいと思いました。
七之助丈が出てきて、やっと舞台は引き締まりましたが…。
それから、團子君の役者ぶりは他の役者を食ってましたな。うまいわー、あの子。

で、『三笠山御殿』で玉三郎丈のお三輪。やっぱりぜんっぜん違う、格上の演技。
一途な恋に動かされて場違いな場所に入り込んで戸惑う若い娘感や、でも実はけっこう蓮っ葉な性格づけも上手い。女のかわいさがたまらん。また、求女と橘姫が婚礼をあげると聞いて嫉妬に狂い、形相を一変させて(疑着の相)花道から髪振り乱し踵を返して奥へ駆け入ろうとする場面の迫力は、凄かった。遠路見に来た甲斐がありました。
そして、命がこと切れるって言うのに、求女の大義を聞いてうれしがる乙女心(←この話のこの展開は、毎度のことながら個人的には理解できませんが)も、憐れでした。

それだけに、若い役者の力不足が痛いです。松禄丈、中車丈、それぞれ頑張っているのだろうけれど、やっぱり間にいるべき役者の不在感が埋められないのですね。
(もちろん、舞台袖では七之助丈がじっくり見て勉強していることでしょう…(妄想)…このあとの芝居の成長に期待ですよぅ!)

なには、ともあれ、今年も1年楽しい思いをありがとう!と、芝居の神様に感謝、読者の皆様に感謝で年越しを迎えたいと思います。



翌日は、午前中に虫六子と浅草詣りをして帰省して来たのでした。今度は青春18切符2人遣いで。腰にきたー(;;;´Д`) 
あ、ちなみにこの写真は、浅草寺さんの仲見世通りにかかった絵看板。来年の干支にちなんで『靭猿』!宙にういている独楽も飾り物、ヘタなコラージュ(クソコラ)ではありません。
念のため。

2015年12月29日火曜日

杵勝会歳末チャリティー演奏会2015

そんなわけで、青春18切符の各駅停車の旅で到着した先の演奏会は、恒例の「杵勝会歳末チャリティー演奏会2015」でございまして、いつもは先生や姉弟子の皆さんとご一緒してるところですが、今年はひとりでゆきました。


会場で偶然松の会のYさんにお会いしたので、ご一緒させていただきまして、松島爆食爆笑ツアーのことなど思い出しながら楽しく勉強させていただきました。

今年のプログラムはこんな感じ。



今回、虫六的に注目の番組は、なんつっても『鞍馬山』であります。一昨年の課題曲でいろいろ手こずりながらも勉強した曲なので、勝十郎師匠のごとき使い手に弾かれるとどうなるのだろうととても愉しみにしておりましたが…、脱帽。短い曲ですが三味線の手の多様性がいろいろあって『鞍馬山』ってこんなに面白い曲だったんですね、と改めて思いました。曲調にあった楷書の芸、メリハリのある爽快な演奏で、あっという間、…というか、立て三味線の呼吸に乗せられている内に1曲終わってました。
前の席に座っていた男性2人が「どうやったらこんな風に弾けるのかなー?!」と舌を巻いておりました。

大曲や難曲ばっかりですと、自分が弾くというイメージが遠いのでただただ感心するばかりですが、普段練習しているやや小ぶりな曲の上手い演奏はこのような演奏会でないと聞けないので、やっぱり貴重なのでした。

それにしても勝十郎師匠は、『喜三の庭』、(2曲空き)、『鞍馬山』(←立て)、『那須野』(勝正雄師匠の立て三味線 (* ̄ー ̄*))、『俄獅子』…と連続出演。すごいわー、プロは違います…技的にも体力的にも。(後半のご出演も期待していましたが、お出にならず、夜の部に仕事でもあったのでしょうか。)

しかし、演奏者の層が厚い杵勝会の演奏会は、まだまだ演者が揃っております。
中盤でいきなり『廓丹前』の大曲を、利光師匠・裕光師匠のご兄弟に勝七郎師匠の替手で。『君が代松竹梅』が女流チームの4枚4挺。和吉師匠の『忍車』(唄_直吉・勝彦、上調子_勝七郎)もありがたい。
今年は、家元率いる『舌出し三番叟』(立唄_勝四郎)が中締めで、同席したYさんに、「『舌出し三番叟』は清元にもあってこれがなかなか渋いので、比較して聴いてみると面白いんですよ」などとご教示いただき、そういう耳で聞くと、たしかに長唄は華やかだなー。

そしてトリの2曲は…

夏に伺った演奏会で女流の『安達ヶ原』にもそうとう痺れましたが、『多摩川』(唄_勝良・勝眞規、三味線_勝幸恵・勝くに緒)…ただ圧倒されました。勝良師匠・勝幸恵師匠コンビはなんてカッコいいのでしょう。勝幸恵師匠の、○才を過ぎて、その迫力と華麗な演奏。超人ですな。ラジオ番組などでも女流の唄を聴くけれど、勝良師匠の声は低音が渋くて好き!そこに、しっかりついていく若い勝眞規師匠と勝くに緒師匠の心強いこと!
こういう番組を組む家元のプロデュース力に1票!将来を考えているナー。ついでに(毎年言ってますけど)勝幸恵師匠のCD制作もぜひよろしくお願いいたします。

大トリの『靭猿』(唄_東成・直吉ほか、三味線_勝国・勝七郎・(上)裕光ほか、囃子_堅田喜左久ほか)は、お芝居を1本みるようなご馳走感で、ちと早いけど新年のお年玉をもらったような気分で満喫しました。来年の干支は申年でこの選曲なんでしょうね、やっぱり。

前日まで大忙しで、早起きして各停列車の旅をしてきたので、寝てしまうのではないか?とちょっと自信がなかった(とほほ)のですが、ばっちり覚醒したまま愉しみました。

2015年12月25日金曜日

長唄を聴きに行く、青春18切符で。

泣く子もだまる丑三つ刻…ではありませんが、早朝6時前です。


この季節、6時ってまだ夜なんですね。
どうしてこんな時間にS台駅にいるかというと、東北本線上り一番列車に乗るためであります。

今日は、有楽町で開催される杵勝会の歳末チャリティー演奏会を聴きに行くのですが、ちょうど青春18切符が使える期間だというので、利用してみることにしました。
18才でも青春まっただ中でなくても、この切符は使えます。でも新幹線は使えません。ひたすら普通列車を乗り継いでいくのです。
とりあえず、今日のミッションは演奏会が始まる14時30分までに有楽町に到着すること。いろいろ計算してみたら、6時3分発の一番列車に乗るのがいいということになりました。

新幹線とはまた違う車窓を眺めていたら、だんだん夜が明けてきました。

郡山で乗り換えて、さらに、黒磯駅までつきました。
もうすぐ、持って来た本を読み終わりそうです。

宇都宮駅で乗り換えて…。

グリーン車を使うことにしました。
日曜日なので、宇都宮から品川まで買って780円のホリデー割引き。やすっ!

普通列車とは思えない快適性。
都会の電車はグリーン車ついてていいなー。

と、面白く過ごしている間に、有楽町に到ちゃあ〜く!
正味7時間程掛かりましたが、3150円(グリーン券含む)で東京に着きました。
(1月10日まであと4回使えるので、虫六子の帰省に利用してもらいますのだ)

さあ〜、長唄を聴きにまいりましょう。


2015年12月8日火曜日

オリーブの冬支度

先日の日曜日、こともあろうか虫六が丹精込めて(?)育てているオリーブの鉢が破壊されるという事件がありました。


あたー、そんな乱暴狼藉を働く輩は、我が家にはひとりしかおりませんが、とりあえずおっきな破片をくっつけて応急処置をしてみました。とほほ。鉢を買えようかなと思ってもみましたが、いまは植え替えのタイミングではなさそう…。
そんなわけで、そろそろの頃合いでもあるので、そのまま冬支度してしまいました。


オリーブって10度くらいあれば良いそうなのですが、日あたりが悪いのはダメなんだそうです。それで、家の中に入れるより植木鉢のまわりを発砲スチロールでカバーしてビニールかけてそのままベランダにおいてやったら、去年は良い塩梅に冬越えしたので、今年もやってみました。
たぶん、鉢が割れている影響もあまり無いように思うんですが…ね。どうでしょうか?

2015年12月2日水曜日

11月に読んだ本

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:528ページ
ナイス数:9ナイス

踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽 (NHK出版新書 454)感想
お茶の間をダンステリアにしたピンクレディーの絶頂期もディスコブームも世代的には被っているのに、踊る文化は享受して来なかったなぁ。マンボ・ドドンパにはじまり様々なニューリズムが輸入され和製化されてきた日本の歌謡史。確かにリズムで読み解くと、職業音楽家の作品としてのアイドル歌謡史やシンガーソングライター系のロックやポップスを日本の大衆音楽とするのとは別の視座が見えてくる。目鱗で面白い一冊だった。YouTubeで映画『ブルース・ブラザーズ』の「Shake Your Tail Feather」も見てしまいました。
読了日:11月26日 著者:輪島裕介

Sunny 6 (IKKI COMIX)Sunny 6 (IKKI COMIX)感想
都はるみの『北の宿から』が少年たちの逃亡のBGMに流れる渇き。ニベアクリームの缶を抱きしめて、帰る場所を求めて、夜が明けていく。映画みたいだなぁ、とうるるでした。が、そのあとの八ヶ月は描かれず、何かと折り合って子どもらしくなったはるお…というのは、ちょっと唐突で面食らいました。あれ?終わっちゃいましたか。う〜ん残念です。静君がお母さんと暮らせるようになったのは良かったけれど。
読了日:11月10日 著者:松本大洋

読書メーター

2015年12月1日火曜日

京都のうまいもの

無休で働いた11月もあっというまに終了。とりあえず明日のスタート地点にお仕事もっていけるようには仕上がりまして、ほっと一安心の虫六でーす。働き者の虫六でーす。
(誰ですか、お前だけじゃないから!って突っ込み入れてる人は…)

この間、出張とはいうが家人Tは3回も京都に行ったり来たりで、ずるいってゆーの!
今週末も私は休日出勤だけど、Tは京都に行くというので、晩ごはんを京都から買って来てくれと無心しまして(疲れて帰って、もう、ご飯なんか作りたくないってゆーの!)、おみやげご飯となりました。


平宗の柿の葉寿司(奈良)、かじのの穂先筍の山椒炊き(京都)、八百一本館(京都)のだし巻き卵・牛蒡サラダ・アボガドわかめサラダ、酒は京都・東山酒造の「坤滴」。
(ちなみに865.4km新幹線乗り継いで、ふつーに総菜買ってくるんですけど、家人T… ( ̄◆ ̄;))

なにはともあれいただきました。仕事も終わってプレッシャーも緩和して、堪能しました。
今日はぐっすり眠れることでしょう。

ちなみに、これはお土産。

「邦楽入門の入門」
京都市が作ってけっこう市内のあちこちに置いてあるそうな。
たしかに入門の入門っていう内容ではあるけれど、こんな冊子を行政がお配りするって、画期的ですね。さすが京都…。伝統芸能系のイベントも多いみたいだよ。

はぁ、京都にいきたいよ〜。